小池正博句集『転校生は蟻まみれ』より②
2016/02/27
Sat. 23:07
小池さんの第一句集は『水牛の余波』だった。
水牛の余波かきわけて逢いにゆく
ロマンチスト小池の片鱗をうかがわせる一句である。
水牛じゃなくて水牛の余波をかきわけてゆくところに静かな熱い思いがある。たぎっている。
もしかしたら水牛の余波をかきわけて逢いにゆくのもまた水牛なのではないか。
そしてその水牛こそが小池さんなのではないか、と思っていたら、第二句集にも牛の句があった。
つくづく牛が好きなんだなあと思う。
いつもそうだった牛部屋のニヒリズム
当たり前だけど牛はなんのために生きているのかなんて考えない。乳を搾り取られるために生かされ、
人間に食べられるために大切に育てられる。しかしその人間も実は生きる意味など分からずに生きて
いるのだから皮肉な話である。それでも何とか分かろうと絶望や失望を繰り返し生きているのだけど、
行きつくところはかなしいかな、その牛部屋なのである。なぜならそこには嫌たらしい欲望はなく、
虚無が在るだけだから。
天壇にのぼったという牛の骨
そもそも生きる意味などなくて、すべては天命であるという考えに至ることで、そこから生きる希望が生まれ、
ついには死への恐怖もなくなる。それは天から与えられた生を全うすることで神と最も近いであろう天壇に
到達するからだ。神により近づくための媒体が牛なのだろう。
もしもこの句、牛という言葉が入ってなかったら私はこうやって取り上げてなかったと思う。まあ言ってみれば
牛の骨じゃなくても何でもいいわけだし、はっきり言って興味はなかった。でもこうやって牛つながりで
拾い上げると見えてこなかったものが見えてきて、天にも昇る心地こそしないものの、不思議な感じではある。
川上で心の牛を取りかえる
小難しい言葉が並ぶ句集の中で、小池さんにしては珍しく親切な一句である。ツンデレのデレ句である。
たまにこういうのがあるから読むのをやめられない。
人は表向きは空気を読んでうまくやっているつもりでも精神はどんどん疲弊、摩耗していく。そうなると
一度気持ちをリセットしなければならないのだが、ここでは日常的な「取りかえる」作業がまるで神聖な
儀式のような印象を受ける。「川上で」という言葉に浄化された作中主体の晴れやかさが伝わってくる。
車のハンドルやブレーキには「あそび」というものが必要である。この句にも「あそび」がある。「心の牛」は
結構ぐっとくる表現だと認めたうえで、読み手がその「牛」の部分を触ったり動かしたりしてもこの句自体は
ブレないで機能している。そのためこの句にゆったりとした余裕のようなものを感じるのかもしれない。
水牛の余波かきわけて逢いにゆく
ロマンチスト小池の片鱗をうかがわせる一句である。
水牛じゃなくて水牛の余波をかきわけてゆくところに静かな熱い思いがある。たぎっている。
もしかしたら水牛の余波をかきわけて逢いにゆくのもまた水牛なのではないか。
そしてその水牛こそが小池さんなのではないか、と思っていたら、第二句集にも牛の句があった。
つくづく牛が好きなんだなあと思う。
いつもそうだった牛部屋のニヒリズム
当たり前だけど牛はなんのために生きているのかなんて考えない。乳を搾り取られるために生かされ、
人間に食べられるために大切に育てられる。しかしその人間も実は生きる意味など分からずに生きて
いるのだから皮肉な話である。それでも何とか分かろうと絶望や失望を繰り返し生きているのだけど、
行きつくところはかなしいかな、その牛部屋なのである。なぜならそこには嫌たらしい欲望はなく、
虚無が在るだけだから。
天壇にのぼったという牛の骨
そもそも生きる意味などなくて、すべては天命であるという考えに至ることで、そこから生きる希望が生まれ、
ついには死への恐怖もなくなる。それは天から与えられた生を全うすることで神と最も近いであろう天壇に
到達するからだ。神により近づくための媒体が牛なのだろう。
もしもこの句、牛という言葉が入ってなかったら私はこうやって取り上げてなかったと思う。まあ言ってみれば
牛の骨じゃなくても何でもいいわけだし、はっきり言って興味はなかった。でもこうやって牛つながりで
拾い上げると見えてこなかったものが見えてきて、天にも昇る心地こそしないものの、不思議な感じではある。
川上で心の牛を取りかえる
小難しい言葉が並ぶ句集の中で、小池さんにしては珍しく親切な一句である。ツンデレのデレ句である。
たまにこういうのがあるから読むのをやめられない。
人は表向きは空気を読んでうまくやっているつもりでも精神はどんどん疲弊、摩耗していく。そうなると
一度気持ちをリセットしなければならないのだが、ここでは日常的な「取りかえる」作業がまるで神聖な
儀式のような印象を受ける。「川上で」という言葉に浄化された作中主体の晴れやかさが伝わってくる。
車のハンドルやブレーキには「あそび」というものが必要である。この句にも「あそび」がある。「心の牛」は
結構ぐっとくる表現だと認めたうえで、読み手がその「牛」の部分を触ったり動かしたりしてもこの句自体は
ブレないで機能している。そのためこの句にゆったりとした余裕のようなものを感じるのかもしれない。
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川柳事
2016/02/26
Fri. 13:15
2月に入って新しい川柳事が2つ始まりました。
1つは勉強会。6名の有志、平均年齢若干ワカメです。
互選もしますが、句をもっと根掘り葉掘りします。普段の句会で言いたくても言えなかった
(時間的、立場上、自分の読み力不足などの理由による)ことをまくしたてるもよし、疑問を
投げかけるもよし、とにかく川柳にもっとまみれたいという思いからスタートしました。
もう1つは朗読会。発起人はくんじろうさんとろっぱさん。
川柳あり、詩あり、短歌(人のん)あり、形はなんでもOK。
わたしは川柳を始めた頃の自分のあまりパッとしない句を組み合わせた詩もどきを朗読しました。
伝えようという読み手の気持ちと掴み取ろうという聴き手の思いが静かに、でも確かに浮遊する
空間でした。コーヒーを飲みながら、ワインを飲みながら、黙読では伝わり切らない何かが心と体に
沁みる心地よい時間でした。
わたしは川柳を追いかけているのか、川柳に追いかけられているのかわからないけれど、多分どちらも
楽しんで進んでいるのだと思うし、流れに身を任せながらも行きたい方向にちょっとずつ体を傾けて
流されているような2月最後の金曜日、ぬくし。
1つは勉強会。6名の有志、平均年齢若干ワカメです。
互選もしますが、句をもっと根掘り葉掘りします。普段の句会で言いたくても言えなかった
(時間的、立場上、自分の読み力不足などの理由による)ことをまくしたてるもよし、疑問を
投げかけるもよし、とにかく川柳にもっとまみれたいという思いからスタートしました。
もう1つは朗読会。発起人はくんじろうさんとろっぱさん。
川柳あり、詩あり、短歌(人のん)あり、形はなんでもOK。
わたしは川柳を始めた頃の自分のあまりパッとしない句を組み合わせた詩もどきを朗読しました。
伝えようという読み手の気持ちと掴み取ろうという聴き手の思いが静かに、でも確かに浮遊する
空間でした。コーヒーを飲みながら、ワインを飲みながら、黙読では伝わり切らない何かが心と体に
沁みる心地よい時間でした。
わたしは川柳を追いかけているのか、川柳に追いかけられているのかわからないけれど、多分どちらも
楽しんで進んでいるのだと思うし、流れに身を任せながらも行きたい方向にちょっとずつ体を傾けて
流されているような2月最後の金曜日、ぬくし。
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小池正博句集『転校生は蟻まみれ』より
2016/02/20
Sat. 15:51
都合よく転校生は蟻まみれ
小池さんの句にときどき現れる少女がいる。
その少女は純真で清らかでけがれのない女の子―――― じゃなくて、そういう女の子を
蟻いっぴき殺さぬような顔で演じられる女の子である。いや、本人は演じてるつもりはないのだ。
だって女の子ってもともとそういう生き物だから。それを小池さんはよくわかってらっしゃる。
いや、そうではなくて、小池さんの中にもそういう少女性があるのだ、と思う。
転校生というのは恰好のいじめの対象になる。蟻まみれになるということは、その前に砂糖まみれという
状況があるわけで、その甘やかさと「都合よく」に含まれる幼稚性がいっそう少女の残酷さを増している。
好きな句である。
マスコット二つぶらさげ花粉狩
なんかもそうですよね。
マスコット二つぶらさげるあどけなさでもって、花粉狩りというふわふわした凶暴性を振り回している。
ギャップ萌えである。
蛇足かもしれないけど、わたしは基本(笑)いつも真面目で品行方正な小池さんとそんな小池さんの作る
陰湿で意地の悪い句にギャップ萌えしているのだろうと思う。
小池さんの句にときどき現れる少女がいる。
その少女は純真で清らかでけがれのない女の子―――― じゃなくて、そういう女の子を
蟻いっぴき殺さぬような顔で演じられる女の子である。いや、本人は演じてるつもりはないのだ。
だって女の子ってもともとそういう生き物だから。それを小池さんはよくわかってらっしゃる。
いや、そうではなくて、小池さんの中にもそういう少女性があるのだ、と思う。
転校生というのは恰好のいじめの対象になる。蟻まみれになるということは、その前に砂糖まみれという
状況があるわけで、その甘やかさと「都合よく」に含まれる幼稚性がいっそう少女の残酷さを増している。
好きな句である。
マスコット二つぶらさげ花粉狩
なんかもそうですよね。
マスコット二つぶらさげるあどけなさでもって、花粉狩りというふわふわした凶暴性を振り回している。
ギャップ萌えである。
蛇足かもしれないけど、わたしは基本(笑)いつも真面目で品行方正な小池さんとそんな小池さんの作る
陰湿で意地の悪い句にギャップ萌えしているのだろうと思う。
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ふらすこてん2月句会
2016/02/09
Tue. 14:57
三人選「隠す」
9点 どて南瓜あんたも隠れ吉利支丹 一筒
9点 親指を隠してうどん屋に入る 進弘
8点 長袖で隠す半袖でも隠す 六助
7点 全身のこびとのことは教えない 陽子
7点 顔面に修正液を塗り終える 多佳子
6点 キューピーがこんな小ちゃい手で隠す くんじろう
今回はみごとに高得点句(上三つとキューピー)を抜いていました。
とても川柳らしい川柳。びっくりするような句も好きですが、こういういかにも川柳ですという安定感も
好きです。
どて南瓜あんたも隠れ吉利支丹 一筒
南瓜と隠れ吉利支丹には突拍子もない感じもありつつ、カボチャとキリシタンどちらも
ポルトガル語と知ればこのつかず離れずの取り合わせには文句のつけようがありません。
親指を隠してうどん屋に入る 進弘
子どものころ、霊柩車を見たら親指を隠してました。親の死に目に会えないなんて、それが
幸か不幸かも分からないうちからそんな迷信を植え付けられていたわけです。
親指を隠さないでうどん屋に入るとどうなるのでしょうか。太く長く生きられないとか、ぐだぐだの
ぐずぐずの、、いやいやナンセンスな句の意味を考えるほどナンセンスなことはこの世にナンセンス。
長袖で隠す半袖でも隠す 六助
わたしも今回同じことを考えました。長袖で隠す。で、何を隠そう。そればっかり探して、結局見つからず
あきらめたのでした。それなのに、なんですか。長袖で隠すだけじゃなく半袖でも隠すて。どんだけ隠すねん。
しかも半袖でも隠せるんやん。夏場もOKやん。もう何隠そって必死になってたわたしとしては、膝カックン
された気分。この句は何を隠すか書いてないけど、そんなことはもうどーでもいい。
わたしの句
点々とわれナフタリン司る
乳房はニュウボウと読む昼の犬
昼だけど夜を噛んでもいいですか
かわいそうを取ったら何も残らない
心的外傷 話題の鬼になる
全身のこびとのことは教えない
入れ墨に生家の首を隠し持つ
9点 どて南瓜あんたも隠れ吉利支丹 一筒
9点 親指を隠してうどん屋に入る 進弘
8点 長袖で隠す半袖でも隠す 六助
7点 全身のこびとのことは教えない 陽子
7点 顔面に修正液を塗り終える 多佳子
6点 キューピーがこんな小ちゃい手で隠す くんじろう
今回はみごとに高得点句(上三つとキューピー)を抜いていました。
とても川柳らしい川柳。びっくりするような句も好きですが、こういういかにも川柳ですという安定感も
好きです。
どて南瓜あんたも隠れ吉利支丹 一筒
南瓜と隠れ吉利支丹には突拍子もない感じもありつつ、カボチャとキリシタンどちらも
ポルトガル語と知ればこのつかず離れずの取り合わせには文句のつけようがありません。
親指を隠してうどん屋に入る 進弘
子どものころ、霊柩車を見たら親指を隠してました。親の死に目に会えないなんて、それが
幸か不幸かも分からないうちからそんな迷信を植え付けられていたわけです。
親指を隠さないでうどん屋に入るとどうなるのでしょうか。太く長く生きられないとか、ぐだぐだの
ぐずぐずの、、いやいやナンセンスな句の意味を考えるほどナンセンスなことはこの世にナンセンス。
長袖で隠す半袖でも隠す 六助
わたしも今回同じことを考えました。長袖で隠す。で、何を隠そう。そればっかり探して、結局見つからず
あきらめたのでした。それなのに、なんですか。長袖で隠すだけじゃなく半袖でも隠すて。どんだけ隠すねん。
しかも半袖でも隠せるんやん。夏場もOKやん。もう何隠そって必死になってたわたしとしては、膝カックン
された気分。この句は何を隠すか書いてないけど、そんなことはもうどーでもいい。
わたしの句
点々とわれナフタリン司る
乳房はニュウボウと読む昼の犬
昼だけど夜を噛んでもいいですか
かわいそうを取ったら何も残らない
心的外傷 話題の鬼になる
全身のこびとのことは教えない
入れ墨に生家の首を隠し持つ
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北田辺久保田紺追悼句会
2016/02/02
Tue. 20:28
先月号より。
ランドセルからちんぴらのハーモニカ くんじろう
体重計に乗って雪の白い事 茂俊
後ずさりしてゆくイマジンの小骨 一艘
ムーミンを伏せの姿勢で待たせとく ちかる
唇をはみ出すまでは蕪でした 律子
大きな蕪には家族がついてくる 茂俊
ヒゲ剃って蕪はごきげんナナメなり 幸彦
逃げても逃げても太陽の塔 丁稚一号
スヌーピーになってからよく伸びる鼻毛 ちかる
後から見ても鼻毛が揺れてます 鈴菜
一本は鼻毛で三本は無駄毛 洋子
ちょうど魚屋ちょうどお菓子屋頭痛する きゅういち
六丁目パンに挟んで父を待つ かがり
北田辺64回句会は紺さんの追悼句会になりました。
北田辺句会に初めて行く時、一人で行くのがこわくて紺さんを誘った。結果、北田辺にハマったのは
わたしよりも紺さんのほう。いつも家出してきたみたいにコロコロにお酒を一杯詰め込んで来てくれていた。
みんなを喜ばせるのが大好きだった紺さん。それはくんちゃんも同じ。だから北田辺、なんだと思う。
もう泣かないぞと行ったら、いきなり紺さんの写真を見せられて涙。泣かそう思てとか言いながら、
泣いたら泣いたで泣くのはまだ早いぞーて、みんなどんだけ勝手なんだ。
久しぶりに見る紺さんの姿はつらいけど、うれしかった。
そして、この日は紺さんを知る人、知らない人総勢22人。北田辺史上初の20人超え。
紺さんパワーやね。そして、みんなでとお酒もたくさん届いていた。
紺さん。紺さん。紺さん。心の中で呼びかける。
追悼句会と言えども容赦なしの席題21個。
みんな泣いたり笑ったりとてもよい追悼句会だったと思う。
わたしの句、そして追悼句。
着せられて詩集はがされて死臭
母狩りをする弟になりすまし
ピンクのパジャマはオギノ式で畳む
週3で船長もしています
やわらかな時間に飛び降りるみかん
マンボウに似た人を100人程盗む
五分刈りで偽善という名の栓をする
耳栓をしたまま夜を聴いている
おぢさんに春が来たのでペディキュアを試す
誰それを恨んでくれてありがとう
舌のない虫だって言う「これうまい」
前髪を気にしているくんじろう
リカちゃんのすじにかみつくリカちゃんのパパ
かばんから岩ペンギンと履歴書と
おはようを繰り返すからふたである
西高東低りんごはもう青い
Yのつく人この指とーまれ
くちびるを見てから決めるYさんのかかと
とりあえず部首をはずして散歩する
一生分のかかとが欲しいヒヤシンス
「紺っ」と言う卵がうまく剥けなくて
ランドセルからちんぴらのハーモニカ くんじろう
体重計に乗って雪の白い事 茂俊
後ずさりしてゆくイマジンの小骨 一艘
ムーミンを伏せの姿勢で待たせとく ちかる
唇をはみ出すまでは蕪でした 律子
大きな蕪には家族がついてくる 茂俊
ヒゲ剃って蕪はごきげんナナメなり 幸彦
逃げても逃げても太陽の塔 丁稚一号
スヌーピーになってからよく伸びる鼻毛 ちかる
後から見ても鼻毛が揺れてます 鈴菜
一本は鼻毛で三本は無駄毛 洋子
ちょうど魚屋ちょうどお菓子屋頭痛する きゅういち
六丁目パンに挟んで父を待つ かがり
北田辺64回句会は紺さんの追悼句会になりました。
北田辺句会に初めて行く時、一人で行くのがこわくて紺さんを誘った。結果、北田辺にハマったのは
わたしよりも紺さんのほう。いつも家出してきたみたいにコロコロにお酒を一杯詰め込んで来てくれていた。
みんなを喜ばせるのが大好きだった紺さん。それはくんちゃんも同じ。だから北田辺、なんだと思う。
もう泣かないぞと行ったら、いきなり紺さんの写真を見せられて涙。泣かそう思てとか言いながら、
泣いたら泣いたで泣くのはまだ早いぞーて、みんなどんだけ勝手なんだ。
久しぶりに見る紺さんの姿はつらいけど、うれしかった。
そして、この日は紺さんを知る人、知らない人総勢22人。北田辺史上初の20人超え。
紺さんパワーやね。そして、みんなでとお酒もたくさん届いていた。
紺さん。紺さん。紺さん。心の中で呼びかける。
追悼句会と言えども容赦なしの席題21個。
みんな泣いたり笑ったりとてもよい追悼句会だったと思う。
わたしの句、そして追悼句。
着せられて詩集はがされて死臭
母狩りをする弟になりすまし
ピンクのパジャマはオギノ式で畳む
週3で船長もしています
やわらかな時間に飛び降りるみかん
マンボウに似た人を100人程盗む
五分刈りで偽善という名の栓をする
耳栓をしたまま夜を聴いている
おぢさんに春が来たのでペディキュアを試す
誰それを恨んでくれてありがとう
舌のない虫だって言う「これうまい」
前髪を気にしているくんじろう
リカちゃんのすじにかみつくリカちゃんのパパ
かばんから岩ペンギンと履歴書と
おはようを繰り返すからふたである
西高東低りんごはもう青い
Yのつく人この指とーまれ
くちびるを見てから決めるYさんのかかと
とりあえず部首をはずして散歩する
一生分のかかとが欲しいヒヤシンス
「紺っ」と言う卵がうまく剥けなくて
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