北田辺8月句会 

2016/08/29
Mon. 15:44

先月号より
そこな傀儡そこなばあちゃんがいて長屋  ろっぱ
森永の天使が住んでいる長屋    くんじろう
俗名はエビゾエア立ち泳ぎ中    ひろ子
いっしょうびんぼうでよいのと言ってみる ちかる
後頭部の出っ張りミラノ風に削く  六助
餡蜜を三つ並べて鉄工所      多佳子


句会の一週間くらい前にくんちゃんから案内メールが一斉送信されます。
わたしは出欠の返事をしません。ごはんを作る量だとか何やら心づもりがあるらしく、何度か優しく咎められた
ような気もしますが、「出欠の返事ができない体質なので。」とお断りしました。返事をして、その日が近づくと
ねばねばお化けが出てきて、何が何でも行かねば、という気持ちに行きたい気持ちが負けてしまいそうになる
のです。

昨日もそんな感じで句会に向かっていたら、天王寺を出たあたりでかがりちゃんから着信アリ。「くる?」
こんなわたしを忘れずに待っててくれてるのかとうれしんだのもつかのま、「もうあんまり食べるもんがない。」
て。マジですか。時計見たら、まだ40分やし(開場1時30分)。みんなどんだけお腹すかせて行ってるねん。
ま、出席の返事をしてないわたしがそんなえらそうなこと言えませんけどね。

まあそんな脅しに負けずに行けば、わたしを入れて18人という、ものすごいことになっていたのでした。そらなくなるわ。
肉団子こそ食べれませんでしたが、ちゃんと食べるものありましたし、くまひこさん作のゴーヤの佃煮がおいしかった。

初めて参加の竹内ゆみ子さん。土佐一賞のお写真の印象と違ってとてもキュートで、ちかるさん曰くバンビのような
人でした。そしてそんなちかるさんに触ると、苔が生えそうなくらいとても湿っていてびっくりしました。


見わたせば他人行儀な骨ばかり   ようこ
骨盤がすっぽり入るピアニシモ
スプーンに少し残っている夜道
すぶずぶのエレベーターとすべり台
キアゲハを拒んでみたりして脚立
生ハムが連なってくる夏祭り
そのままで君は夏って言うんだもん
きわきわに置いてアパートめくんだね
手術台よく見えないものが泳ぐ
この先はサンバを踊るでもなくのれん
腰骨に接ぎ足す二層式洗濯機
題名がやたらむっちりして遊ぶ
宙づりの椅子の高さがケンブリッジ
たいせつな太郎を作る時間です
女優の顔で卵を茹でている
展示室へ包丁持ってサルモネア
三百の水鉄砲と火だるまと
市長ら来て激痛繰り返す





[edit]

CM: 0
TB: --

page top

夏休み 

2016/08/20
Sat. 13:17

帰省したり極小旅行に出かけたり、わたしにしてはヘビーな一週間を過ごしてました。

帰省のメインの目的は中学の同窓会。
海外赴任中につきビデオレターに映し出されたおじさんが、中一の時に好きだった男子で、
名前を聞いてもまったくこの顔にピンとこないという信じがたい変貌を遂げており、しかしながら、
そういうわたしだってもっともっと体にあって欲しいものものは減少し、年相応の雑多なものが
はげしく増殖しているなかで、一週間前には白髪染めに行き、いつもよりおしゃれなお洋服を
身に着けがんばったところで、どこからみてもちょっとがんばったおばちゃんという結果は自分でも
疑いようもなく、お互いさまよのうと心の中で慰め合いながら、やはり楽しいひとときなのでした。

極小旅行には極小旅行にもかかわらず、宿泊先ではのんびりしたいのでDVDをレンタルして持参。
遅ればせながらの「キングスマン」。
期待以上のおもしろさ。見せるところは魅せる。グロいはずの場面で笑わせる。やまやまやまで飽きさせない。

そして、こういうたのしい作品を見ると、いつも思うのが、
こういう句集を作りたいよなあ~。
なのですが、そのような予定はまったくありませんのです。



[edit]

CM: 0
TB: --

page top

パチモンGO! 

2016/08/09
Tue. 20:29

ふらすこてんの二次会でちかるさんにしばかれました。
上腕骨までひびくほどの衝撃になんでしばかれたか忘れてしまいました。
種痘痕あたりにうっすらと手形。

で、種痘痕。わたしの生まれた地方ではほうそう(たぶん疱瘡)と呼んでいました。


さいばらさんのブログと週刊俳句で紹介されていた俳句。

   
   
   種痘痕吉井明子は転校生   岡野泰輔


吉井明子サンより何より種痘痕に存在感、昭和感極まる。


そしてこちらは、たまの句会から


   太陽のコロナを食べる現地妻   小池正博


げ、現地妻!太陽のコロナを食べようが、ナニを食べようが現地妻ですよ。

わたしにとってはどちらも、もはやホリケンの一発ギャグにしか見えません。

こういう句に出会うと、使いたいぃぃ---!ってなりません?種痘痕・・・現地妻・・・・

   

   種痘痕座るムラノ耳鼻咽喉科     ようこ
   
   グリコよりパイナップルな現地妻   ようこ



クオリティの低さよ。これぞパチモンゲットだぜ!




[edit]

CM: 4
TB: --

page top

ふらすこてん8月句会 

2016/08/08
Mon. 18:56

先月欠席したので、ひさしぶりに体感する夏の京都。
うだる。さすがに四条通を歩く人の数がいつもより少ない。
海外からの観光客などを見ていると、せっかく来ていただいたのに、こんなに暑くてほんますみません、
と思ってしまう。わたしは京都人でもないし、京都が暑いのはわたしのせいではないんだけど。


三人選「花火」
7点 縛られたままで聞いてる遠花火    やよい
6点 香辛料入りの花火を上げなさい    ゆみ葉
6点 ドンと上げたらロンドン橋落ちた   勝彦
6点 線香花火奈落に首の落ちる音     正昭
6点 バカボンのパパの鼻から出た花火   喜八郎
6点 脇腹に仕掛花火をひそませる     洋子

遠花火というのは、音は聞こえず光だけが見えている花火のことを言うのだそうです。
だからこの「聞いてる」がおかしいという意見。でも「縛られたままで聞いてる」状況はすごく好きです。
が、点は入れてません。いかんせん「縛られたままで聞いてる」のどことなくずるっとした言い回しにスッキリせず。

ということで一応擁護派としては、遠花火は見るものでないといけないというのは分かるのですが、身動きの
とれない状況で耳だけは必至に外界の見えない花火の音を捉えようとしている、あるいは追い詰められた
状況下で聞こえないものが聞こえてしまったという幻覚、ということもあるのでは、、というのは脚色しすぎでしょうか。

で、今回議論が熱くなったのが、こういうドラマ性だったのです。(別の句で、ですが)
「説明だけで物語がないから取らなかった」という意見に対し、「ドラマ性がすべてではない」という意見。
どちらの意見も分かるので、いかんともしがたくただただ聞いているだけでした。
書かれていない部分を努めて想像するのではなく、想像させられてしまう句は、ある程度の余白が残されていて、
どういう結論を導き出すかは読者に委ねられています。そういう意味ではすべてではないけどとても大事なことでは
あります。そしてその余白を埋めることができ、自分なりの結論が導き出せると、「この句、好き」と思うのは人間の
感情としては当然の流れでしょう。ただそこに「川柳として」胸を張って「いい」と言えるかどうか、なのかなという
気がしています。
だって、わたしは川柳を作っているのだし、川柳を読んでいるんだから。



寒天で固めておいた耳年増    ようこ
婚活に励む福神漬け男子
ちはやぶる人の屑さりげなく破格
麗しく花火 公開処刑され
線香花火 神には神の日刊スポーツ




[edit]

CM: 0
TB: --

page top

飯田良祐句集を読む集い 

2016/08/02
Tue. 16:21

ゲストは歌人の岡野大嗣さん。
岡野さんが選ばれた10句の鑑賞に聞き入る川柳人。
ほお~とか、へえ~とか言いながら。
たとえば、

   下駄箱に死因AとBがある   良祐

靴底には今日一日の無数の死因をはりつけて帰ってきており、その靴をしまう下駄箱で剥がれ落ちる。
下駄箱というせまい空間でさらに死の濃度が増してくる。

柊馬さんは、「時間にまつわる句が多い」と指摘。岡野さんの読みに加えて、この下駄箱も過去の堆積
した時間であり、命の中の何かを回収したい、という想いがあったのではないかと。

三次会で岡野さんの句を教えていただきました。完璧におぼえていないのでアレなのですが、『口の中に虫が
飛び込んでいま死に立ち会いました』みたいな歌。失礼か。ほんま。でも、この句を聞いて下駄箱の句と
どこかつながっている気がしたのですよ。

 ※追記  いま虫が口に入っていきました死の瞬間に立ち会いました   岡野大嗣   

       でした。




淡々と語る言葉も行動も正直すぎて、きょうみぶかい方でした。
同じ沿線の住人でしたので、いつかふとお会いして、談義していただきたいものです。



[edit]

CM: 0
TB: --

page top

2016-08