北田辺11月句会 

2016/11/28
Mon. 15:10

先月号より
弘法大師空海継ぎ木が人参      奈々
極刑の月の裏へと流される      ひろ子
惑星ひとつブルーシートからゴロリ  一帆
惑星のなんなくメスを受け入れる   奈々
ほろほろとはなんだ煮込めばジャズである 々々
ほろほろの発祥の地のさいたま市     大祐
ヴィトンのポーチも飴ちゃんでぱんぱん  吹喜
目薬を持って二階まであがる     洋子
半袖はもう着ないから連れてって   かがり
封をするりんごの尻の赤いまま    紫乙


今月は少なめの10名参加。これはこれでみんなの輪がひとつになるというのか、
話題がばらけないのがいいですね。
ひとりやる気のない人がおりました。最初からきょうは席題はなしにしましょうと、
早々に酔っぱらうという、句会にあるまじき不逞。
もともと流されやすいタチなのでずるずる飲み続けていると、突然まじめな遊凪さんに
「陽子さん、お題ください。」と言われ、え、なんだこのシステムは。新しいじゃないか。
と思いながら、「じゃあ、緑で。」て言うたら、みんなも乗ってきて、「じゃあ共選で。」
と話がすすみ、なんとなくまた句会らしくなってくる。
それからも飲んで食べてをくりかえし、ひとりふたりと帰っていき、やっぱり封筒回ししよ
ってなる。わぁ、句会みたいでたのしい。(句会や)
それにしても、S彦さんになにがあったんやろう、が昨日一番の謎でした。


明るい家族計画赤い羽なびかせて
鳥の巣にひとの匂いの雨が降る
柿をむく二の腕をむく梨をむく
ぼくはもうぼくらになれぬ散りたまえ
だからどうしたみどり色の乳房
マフラーを巻いて行き止まりの体位
うわばみは三行目には死んでしまう
さよさよとおしべ張り付く八重歯かな
九人でこわされそうなnino作る
ブリーフに柿と煮干しを包んで帰る

[edit]

CM: 0
TB: --

page top

名前。 

2016/11/23
Wed. 12:08

病院に行くのが大嫌いで、そこにほんのひとつまみの愉しみを見い出すとするならば名前である。

「げきょうさーん、げきょう○○さーん。」
初耳。外京さんだろうか、下峡さんだろうか。いや、華経さんかもしれない。

「原田さーん、原田トモヨさーん。」
わあ、お気の毒に。

「はなださーん、はなだその○さーん。」
短縮して「はなその」。からの「はなぞの」でもいい。あだ名決定。
どんな名前も短縮できるわけではないのでこのような名前は貴重だ。
あの壇蜜さんは壇ノ浦蜜子を短縮したような名前だけど、実はそうではない。
これ以上の短縮はもちろん無理。そういえば壇さんとか蜜さんとか呼ばれているのも聞いたことがない。
いつもフルネームで呼ばれる不思議な名前だ。

収穫にそこそこ満足して、帰宅。


動物病院はファーストネームを先に呼ぶ。
「ココちゃーん、田中ココちゃーん。」というふうに。

「ゴロウちゃーん、野口ゴロウちゃーん。」
キターー。でかしたよ、あっぱれだよ、と心の中で飼い主を絶賛する。
お会計の時、受付の用紙をなんとなくチェック。
野口・・・コロ・・・。

ぬか喜びした自分を戒めながら、帰宅。


[edit]

CM: 0
TB: --

page top

一行日記。 

2016/11/17
Thu. 11:39

11月某日
   おやすみとおはようの距離つかめない速さでおちる世界を選んだ


11月某日
   どうしてもクシコスの郵便馬車が見つからずメールで済ます私をゆるせ


11月某日
   嗚咽するほど泣いた映画を感動といいたくないからちょっとだまってろ


11月某日
   店内の女子を片手に花咲かすどうだSoupStockTOKYO


11月某日
   疎ましく遠いと書いて疎遠の友よまだフルートは吹いているか


11月某日
   きみ「阿部公房の空飛ぶ男って・・・」 わたし「棒?」 きみ「棒男?」 わたし「(惚れてまうやろ)」


11月某日
   ぱっと見が穂村弘に似ていたと二度見したらばぜんぜん違った





[edit]

CM: 2
TB: --

page top

小津夜景句集『フラワーズ・カンフー』 

2016/11/10
Thu. 12:13

これまで小津夜景さんのブログや小論などを読ませていただいて、ダントツの印象が、この人
頭、いいんやろうなあ、です。ゲスな言い方ですみません。
だからその夜景さんの句集を読むということは、幼稚園児に哲学本を読めと言うてるようなもんで、
(いや、今も読まれへんけど)、句集を手にしばらく開くことができなかった。なんとか勇気を出して
ページを開く。


   
   あたたかなたぶららさなり雨のふる


たぶららさ。いい響きやな。聞いたことないけど。「たぶらかす」と「ぶらさがる」と「あぶらかたぶら」が
合体したような。
つまり「たぶらら」という形容詞の派生名詞「たぶららさ」だと思った。もちろん夜景さんの造語やと。

あたたかなたぶららさ。たたとらら。しゃぼん玉はしゃぼん玉同士がぶつかった時、割れないで引っ付き合う。
しゃぼん玉が丸いのも、割れないで引っ付き合うのも表面張力が働くからなのだそうだ。
夜景さんの俳句における言葉ひとつひとつがしゃぼん玉で、その表面張力によって引っ付き合ったものが
ひとつの句になっている。そしてひとつの句になった後もぎりぎりのところで不安定に安定は保たれている。

後日「たぶららさ」とは「タブラ・ラサ」で、《何も書かれていない書板の意》ロック
(イギリスの哲学者)の認識論の用語で、生まれながらの人間の心には白紙のように生得観念はないという
主張のたとえ、なのだと知った。(ほらね、あたしゃそんな言葉知らないよ。)

「たぶららさ」って何やろう、と調べようともしなかった自分のおこがましさをおおいに恥じた。
と同時に、こんなにもあたたかく清らな雨があることも知った。

   
 

   鳴る胸に触れたら雲雀なのでした   夜景



鳴くものと鳴るものにたいした差異はない。あるとしたらほんの少しのゆらぎ。
沁みる。  


   




[edit]

CM: 4
TB: --

page top

ふらすこてん11月句会 

2016/11/07
Mon. 15:53

三人選「衣」
6点  経帷子のゼッケンも12番    一筒
6点  さめざめときぬぎぬのことむらさきのこと 洋子
6点  豹柄と迷彩服の立ち話    茂俊

今回も一般選者3名選出制。なんでこれを選んだかということを追及される。
感じたことを言葉にして相手に分かってもらうというのはとてもむつかしいことよなあと選ばれし人たちを
見ながら思う。でも明日は我が身なんやよなあ。どきどき。

またまた数字。スポーツにあかるくないので気づけなかったけど、(1つの意見として)12番(補欠)の
せつなさがあるという。数字は関係なく、経帷子(死に装束)にまでゼッケンをつける面哀しさがあるという。
なるほどなるほど。だけど、死関係でいくと、こっちの方がわたしには合ってるかな。
   
   フィッシュ・オア・ミート臨終の腰巻   かがり

空の旅ちゃうねんから。(まあ死ぬことを昇天とか旅立ちとか言うけどな)
そやね、これから寒なるしミート系の腰巻にしとくわ。
って、こういうことやんな。知らんけど。


登録するしない生姜天の串ピンク   ようこ
水仙の骨の形を記録する
旧校舎のチョークの先の騒がしさ
旧姓の表面積を教えてしまう
あさましく病めよ地衣類分かればよい
理想とは衣装ケースで慰み合う


俳句の岡村知昭さんから句集『然るべく』をいただきました。帰りの電車でけっこうがっつり読む。
ええわ~。気持ちのいい酔いを決して邪魔せず、いや、むしろこういう状態で読むということを見越して
作られたんではあるまいか。いや、ないな、ないと思う。
   
   あわゆきと鼻血のひさしぶりである   知昭

「なんやこれ。」 あぶな、もうちょっとで声に出すとこやった。



[edit]

CM: 0
TB: --

page top

北田辺10月句会 

2016/11/01
Tue. 18:16

先月号より
一本のまつ毛に千人の亡者     くんじろう
靖国へまつ毛一対奉納す      一筒
煎餅は歯車である初恋期      大祐
ふがいなく濡れ煎餅に添い寝する  ちかる
具理論と具理論分派そば系図    大祐
肌というにはあまりにも皮膚である 丁稚一号


10月30日。偶然にも紺さんの一周忌なのだった。紺さん久しぶり。
そして中山奈々ちゃん、いらっしゃい。S乙ちゃんの洗礼をがっつり受けて、まあ大変やったね。

この前、ある方に「北田辺は遊びやから、、、まあ楽しむのはええけど、、、、あれは遊びやから
ほどほどにしといたほうが、、、。」みたいないことを言われました。
はあぁ・・・と答えつつ、え?なんで?遊びやで?知ってるけど?ほどほどて?と心の中は?が渦巻く。
遊びというものにもそれぞれに受け方、感じ方の違いがあるんやなあ。
で、そんなこともあってか、今回、遊び過ぎました・・・。遊んで何が悪い!というのはこっちの勝手な
言い分であって、いやな気分にさせたことは事実、申し訳ありませんでした。
以上。反省おわり。

奈々ちゃんに、行きの電車で「(宿題、)川柳、作ったん?」って聞いたらきょとんとされたのやけど、
あたりまえっちゃあたりまえのことなんやけど、へぇ~と思った。じゃあ俳句じゃなくて川柳を作るって
何が違うんって聞くと、とりあえず季語は入れない、と。ほぉ~~である。川柳にだって季語として
使ってなくても季語の入った句はいくらでもあるし、俳句にだって季語のない俳句はあるわけやから、
川柳の句会に出せばそれは川柳になり、俳句の句会やったら俳句でしょ、くらいの軽い気持ちでわたし
なら作る。奈々ちゃん、えらいなあと思う。

中山奈々選、秀句いただきました。思わずガッツポーズ。
   継ぎはぎだらけのエロ本秋運ぶ

選者は投句したあとにあみだで決めるので別にあてこんだ訳じゃないですよ。
いや、もしこれであてこんだと言われる奈々ちゃんてどんな人やねんて話やし。
そういえば、奈々ちゃんの俳句にこんなんあります。

   首に汗疹半分がエロ本の店   奈々

こんな人。
でも、

心臓はどつかにあつて春の雨
霜を舐め尽くせと犬を放しをり
行く秋や買ふたび君の傘となる
茂吉忌や床の一部として過ごす
散髪へいく鬱屈へ揚羽蝶

こんな人でもあるのですよ。


閉まらないドアほろほろと愛人に   ようこ
タンパク質のように振舞う第一子




[edit]

CM: 0
TB: --

page top

2016-11