ぜんまいのやがてくしゃくしゃな黄昏
 海鳴りがひとつコーヒーがふたつ
 肩先で群青を吐く翅を吐く


哀愁という言葉が似合う。人生という言葉が似合
う(本人ではなくあくまでも句において)。
誰かのために、そして自分のために生きてきたひと
はかっこいい。でもそれを口にしたとたんかっこ悪
くなる。これくらい遠回しで言葉少ながちょうど
かっこいい。


 葉桜のざわつく指は捨てなさい
 現実はほらねライオンの勝ち
 ゾウさんゾウさん手相は悪いのね
 ひややっこ性欲はまだ少しある
 団栗コロコロ明日定年なんですよ


クラスに1人か2人は必ずいる類のお調子もんだっ
たであろう奈良少年は、今ではたいしておもしろく
もないギャグや下ネタを見境もなく言いはなつもん
で、あー、はいはい、と言って聞き流すのだが、
時々あっと驚かせてくるからむげにもできない。


 葬儀屋が最敬礼で待っている
 ははごろし こごろし ちりし しんぶんし
 暁が降るよラッパ屋が死ぬよ


ラッパ屋が死んで次のラッパ屋のファンファーレが
鳴り響く。変わらない世界で質感のすこし変わった
わたしの死はなんか楽しそう、と思う。


 綿毛ふんわりこの子もきっと人を刺す
 ヒトヲサスレンシュウ カゴメカゴメ
 刃物屋の前で輪投げをくりかえす


「刺す」句が多い。なぜなら一艘さんはもと料理人
で包丁は体の一部で刺したり切り刻むのはお手のも
んだから。でも魚をさばくように輪投げはそううま
くはいかないだろうし、でもやり始めると無心にな
れる輪投げは刃物屋の前でするのに最適の遊びだ
と知っている一艘さんはやっぱりほんものの料理人
なのだろう。


どこもかしこも歯型のついたりんごヘラヘラ 一艘  




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コメント

陽子さん。
早速拙句集をブログに取り上げて頂き一艘老人はとっても感激しています。ありがとうございます。
また一緒にカラオケしに行きましょう!

奈良一艘 #- | URL | 2018/03/20 20:42 * edit *

一艘さま


なんか上からな感じでごめんなさい(いつもやん)。
カラオケ行きましょう!
一艘さんの手料理も食べたい!


ようこ #- | URL | 2018/03/21 08:22 * edit *

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2018-04