川柳木馬 

2015/02/19
Thu. 17:51

川柳木馬(第143号)の作家群像、兵頭全郎さんでした。

はっきり言います。全郎さんはめんどくさい男です。ゆえに全郎さんの川柳もめんどくさいです。

今回、湊圭史さんが論を、江口ちかるさんが鑑賞をされてるのですが、まあ読んでるこちらにもやりにくかったん
やろなあという感がひしひしと伝わってきてある意味おもしろかったです。(自称ドSですので)

それにしても湊さんの文章、惚れ惚れしますな。

『読後振り返ってみると、手ごたえのある句の「中心」的なものがなかったことに気づかされる。』
『こつんと突き当たる解決に至らないと納得しない真面目な読者にとっては、まったく困った事態』
『句の向こうの意味や「深み」に至りつかないとしたら、読者はいったい何を楽しんでいるのか。』
『ひとつひとつの言葉はしっかりと手渡されているのに、最後の句の言葉と自分の「読み」の方向がすれ違って
しまうような感覚だ。』
『二つの要素の異質性を「ぶつからないように」強調する』
『「取り合わせ」に用いた要素を微妙に現実の世界から引き離しつつ、ただし虚構世界のなんでもありに溶解
してしまわないようにバランスをもって配置し、意味を保った言葉からなる独特の空間を生み出す。』
『一句のなかでも、一つの平面に収束していかないで、読者の読みを複数のバラバラの方向に連れていこうとする』
『「取りはやし」のあり方が全郎句の各語のクリアさと呼応して、読者に不思議な体験を与えている。』

いやいや、湊さん、全郎さんをそんな甘やかしたらあきませんと思いつつも、「めんどくさい」をこんな風に
言うことができるんだなあと猛省。

ちかるさんはちかるさんで、いつものちかる調なやさしさでちゃんと句意を読み取って、わたしがまったく理解
できなくてあきらめた句や、無意識にスルーしてた句の解釈をしてくれてて、ほおーーーと思ったりしました。
あと『主体が注意深く取りのぞかれていること(これも全郎作品の特色だ!)』これなどは湊さんのおっしゃってる
ことと同じで、よく全郎さんの句をつかんではるなあと思いました。

全郎さん、、って書いてて鳥肌たってくるんでやっぱりぜんちゃんと書きます。
ぜんちゃんのふらすこてんやカードの連作、群作はほんまいつも10句中8句、いや9句(まさに十中八九)
「で、こいつ、何が言いたいんだ?」って思うわけです。わたしの読みの未熟さも当然あり、ぜんちゃんはぜん
ちゃんで「わかってもらわなくても結構です」オーラを発してるというか。
なのでいつもぜんちゃんの句は敬遠しがちなのでした。
最低の読み手です。再猛省。

ところが今回の書下ろし含めた自選60句、わたしなりに腑に落ちた、と実感できる句がありました。
ただ、解るといっても結局わたしの乏しい知識と経験をもってしか解釈しきれてないわけですので、作者の意図とは
違うのかもしれませんけど。


   頭蓋骨割る厳格な復元図

厳格な復元図があるから割れる。「厳格」からなんとなく父の頭蓋骨を思い浮かべ、狂気が見え隠れする中にも
不思議とやさしさを感じました。

   マジシャンでない方の名をハンカチで

ハンカチで、、、なんやねん!とツッコみたくなる。というかツッコみました。まさにこのマジシャンはぜんちゃん。
種明かししないで優越感に浸ってるいやなタイプ。

   
   山羊の目はマイナスドライバーで開く

山羊の目をそんなじっくり見たこともないのに、一瞬で誰もが理解できるポイントを見事に突いた一句。
あぁ、マイナスドライバーで、、開くわ。と思ったあとの薄気味悪さ。

   
   指の銃かまえてまろい窓掃除

指の銃ってあれでしょ、窓掃除用のスプレー。窓越しに奥さま(いないけど)ときゃっきゃ言いながら戯れている
ぜんちゃんを想像するととてもロマンチックです。窓と韻を踏んだまろいがよりあまい。奥さま、いないけど。

   
   大胸筋すぎてフライドチキン落とす

「大胸筋すぎて」に落ちました。くそっ。

   
   胃の中のゴムのカエルをぴょこぴょこする

「井の中の蛙」からでしょうね。胃の中のカエルぴょこぴょこ(ゴ)ムぴょこぴょこ。井の中よりさらにせまい世界。

   
   骨盤はモンシロチョウが受け持ちます

そう言われたら骨盤って蝶のかたちだ。で「受け持つ」が良い。引き受ける、みたいな意味なのかな。


   先頭を触れれば溶ける糸で編む
   象顔の人とそこそこすれ違う
   天然の小川があってノリツッコミ
   夜姫に光の当たる夜がくる
   馬術部に預けた砂を返してもらう
 


今回の木馬では、湊さんやちかるさんの文章を読んで、わたしももっとやさしくあらねばと思いましたし(多分、
すぐ忘れる)、ぜんちゃんの句のおもしろさを初めて(ごめんね)気づかせてもらった気がします。
わたしが句の解釈をしても、ぜんちゃんの句の波打ちぎわで遊ばせてもらっただけで、やっぱり深いところに何が
あるのかは結局わかってないんですけどね。
でも、今まで読み手を拒んでいたと思っていたものは、実はぜんちゃんが言葉に絡みついてる意味に自分は囚われ
たくないとあえて外したりずらしたり抵抗した結果、読み手には伝わりにくさとして受け取られてしまったのかもしれ
ないなあと思ったりしました。そんなこともちょっとうれしい発見でした。
かおりさん、送っていただいてありがとうございました。
 


   川に乗る?もっと都は燃えていろ     兵頭全郎








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